女神デメテル 星空の伝説

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星空の伝説 第1巻

女神デメテル~冬のはじまり
(乙女座)

女神デメテルは、一人娘のペルセポネを
とても可愛がっていたんだよ。
だけどある日突然、そのペルセポネの姿
が消えてしまった。
デメテルは、懸命に娘を探しているうち
に、太陽神ヘリオスに会ったんだ。
ヘリオスはこう言った。
「ペルセポネは今、冥界の王ハデスのも
とにいます。」
冥界っていうのは地下にある世界で、死
んだ人間が暮らしている所なんだよ。
その冥界を支配する神ハデスが、ペルセポネを妻にしたいと思ったんだ。
そこでハデスは彼女の父親、全ての神の王でもあるゼウスに頼んだのさ。
ゼウスは、ペルセポネをハデスの妻にする事に決めた。
そう、母親のデメテルに相談もなしに。
ヘリオスから全ての話を聞いたデメテルは、もちろん激しく怒ったさ。
だけど彼女はもちろん、他の神々も勝手に冥界へ行く事は

できなかった。
それでも娘の事を諦められないデメテルは、固く決意をし
たんだ。
「娘を私のもとに返してくれるまで、私は決してオリュム
ポスには戻りません。」

(語りヘルメス)

デメテルは老婆の姿に身を変え、しばら
く地上をさまよっていたわ。
やがてエレウシスという国の王の息子、
トリプレモスの乳母になったの。
赤ん坊の世話をしているうちに、その子
がとても気に入ったのね。
そこでデメテルは、トリプトレモスを不
死身にしようと考えたのよ。
まず昼のうちにアムブロシア、神々の食
べ物の事ね。それを赤ん坊の体に塗った
の。そして夜にはその体を火にかざしたのよ。死ぬ運命を持っている人間
の体を焼いて、不死身の体に変えようとしたのね。
だけどそれを見た赤ん坊の母親が、驚いて悲鳴を上げたの。

デメテルは不機嫌になって女神の姿に戻ると、この地に自分
の神殿を建てるように要求したわ。
もう地上をさまよう事には疲れていたけれど、娘を取られた
怒りは治まっていなかったのね。
デメテルの姿に驚いた人間たちは、急いで神殿を作ると彼女
はその中に閉じこもってしまったのよ。          
(語りアテナ)

大地の実りの女神である彼女が仕事を
しなくなったから、人間たちがいくら
種を蒔いても芽は出なくなった。
そのためギリシア中の大地が荒れてし
まったんだ。
さすがにこれには困ったゼウスが、と
うとうハデスに、
「ペルセポネをデメテルのもとへ返す
ように」と命じたんだ。 
全ての神の王であるゼウスの命令は絶
対だから、ハデスはしぶしぶペルセポネを地上へ送りだした。
だけどデメテルには、まだ気掛かりな事があった。だからペルセポネに尋
ねたのさ。

「ペルセポネ、冥界で何か食べなかったでしょうね。」
「ざくろの実を四粒食べたわ。」
何も知らないペルセポネがそう答えると、デメテルは思わず
顔を覆ってしまったんだ。
冥界の食べ物を口にした者は、冥界から出てはいけないとい
う決まりがあったからね。                       
本当なら、彼女はそのまま冥界で暮らさなくてはならない、
でも、それではデメテルがまた仕事をしなくなってしまう。
だからゼウスはこう決めたんだ。
「ペルセポネは、一年のうち口にした4粒の実の数だけ、つまり4ヶ月間

ハデスと暮らし、あとの残りは母親と
共に暮らすことにする。」
それでもペルセポネが冥界にいる間は、
デメテルは寂しくて仕事が手に付かな
くなってしまう。
だからその間は、地上には実りがなく
なってしまうんだ。
こうして一年のうち4カ月が、冬になっ
たという訳なんだ。

   このお話は、CD-ROM「星空の伝説~ギリシア神話」第1巻
   に収録されています。
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